カテゴリー:スマートエネルギー | a route(みちすじ) - パート 6

那覇市でのエネルギー事業の取り組みについて

那覇市スマートコミュニティ絵図

 

2015年7月31日に、経済産業省の「平成26年度地産地消型再生可能エネルギー面的利用等推進事業費補助金(構想普及支援事業)」に採択されましたので、本日はこの件についてお話しさせていただきたいと思います。

弊社は沖縄県那覇市に設計センターとカスタマーサポートセンター(コールセンター)を10年前に開設し、現在では250名近い社員が働く拠点へと発展して参りました。

弊社が那覇市に事業拠点があることも1つのきっかけとなり、コープおきなわ様が福岡県みやま市で取り組んでいる大規模HEMS情報基盤整備事業を視察に来られた際に、那覇市でも地産地消型のスマートコミュニティーの構築検討を始めたいというお話しを頂き、今回、那覇市のご協力のもと、コープおきなわ様、沖縄ガス様と弊社の3社で、那覇市における地産地消型スマートコミュニティー構築事業の可能性調査を行うことになりました。

プレスリリースにも記載させて頂いておりますが、沖縄県内の電力事情の特徴として、県外の電力系統と連結されていない単独系統であることにより、すべての電力を県内における発電でまかなわなければならないことのほか、他の電力会社からの電力融通ができないため電力の安定供給面でのリスク管理が重要になっております。

また、沖縄県は台風や津波など深刻な災害リスクを抱えており、これらの災害に見舞われた際の電気・熱・水の生活インフラ対策が強く求められております。特に全国的に一大観光地である那覇市にあっては、訪日外国人も含めた観光客の災害リスクの低減が重要と認識しております。

そのような観点から、既存の火力発電設備などに加えて、地元の再生可能エネルギーを最大限活用し、電力データを利用して電力を効率的に消費しながら、蓄電池などで停電時への備えも行っていく防災型のスマートコミュニティーの構築が求められていると考えております。

スマートコミュニティーの一環として、個別住宅の省エネルギー化の促進も重要と考えております。沖縄の既存住宅は断熱性能面や設備機器のエネルギー効率面で改善の余地が大きいため、個別住宅において電気やガスのエネルギー診断を行い、高効率な省エネ機器へ取換えた際の経済メリットを試算し、省エネ機器への交換を図りながら省エネルギー化を推進することも必要と考えております。また、省エネ住宅に適した電気料金プランとHEMSサービスを提供することで、新たな市民サービスや雇用創出につなげていくことも検討できると考えております。

そしてこのような取り組みの検討ができるのが、電力小売自由化の大きな利点であり、沖縄県の地域振興策と相まって推進できるよう関係者が協力して推進していくことを検討会議を通じて行ってまいります。

弊社といたしましても、電力小売自由化を契機に地方自治体や地域企業との関係強化を図り、地元密着型の電力小売事業を展開していく所存ですので、引き続き、よろしくお願いいたします。

 

 

 

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節電ゲームで特許を取得いたしました。

節電ゲーム

この度、日本で初めて電力データを利用したインターネット上で楽しめる節電ゲームで特許を取得することができました。本日はそのお話しをさせて頂きたいと思います。

今回取得した節電ゲームを一言でいうと、需要家の電力情報を利活用したエネルギーゲーム(略してエネゲー)です。そしてエネゲーの狙いは、ゲーミフィケーションによる省エネ行動の促進とO2Oによる生活関連サービスの提供を目的としております。

2016年4月に電力小売が完全自由化されるのに伴い、スマートメーターやHEMSの普及が広がり、電力データを利活用した電力の見える化、家電や蓄電池のコントロール、更には生活関連サービスなどが可能になります。

一方、現状も今後も予想される課題としては、HEMSが見える化以上に浸透せず見える化も一過性、ゲートウェイであるHEMSとスマート家電の生活レベルでの連関に時間を要す、HEMSを通じた生活に密着した関連サービスの具体化などがあります。

これは需要家、事業者の双方が、まだ電力データを身近な存在として利用しきれていないからだと類推しており、特に需要家の利便性を高めなければ電力データを利活用した新たな電力サービス市場は形成できないと考えております。

やはり需要家にとっては電力データを利活用することで、省エネ活動が楽しく継続され、それにより電気料金がリアルに下がって始めてメリットを体感できると考えます。

電力やサービスを提供する事業者にとっては、電力の販売に加えて自社製品の増販や新たな付加価値サービスで商圏の拡大を目論んでいると思います。

この両者の思いをゲームという身近な手法を用いてマッチングさせたのが、今回特許を取得したエネゲーであります。

このエネゲーの特許は、ゲームを通じた需要家の継続的な省エネ活動(参加者同士の競争)、ゲームの中で行うスマート家電や蓄電池のコントロール(見える化や家電制御)、ゲーム内での電気クーポン発行や広告、それと実店舗を結びつけたO2Oによる生活関連サービスといった構成で出来上がっております。

具体的には各家庭のスマートメーターやHEMSからの電力データを分析して、省エネした電力量を測定します。その省エネした分の電力量がゲーム上にある電気自動車のバッテリーに充電され、それで電気自動車を動かし、世界各地の観光地を巡る電気自動車レースというゲームです。

スマートメーターからは30分単位で電力データを取得できますので、エネゲーでは電気の見える化は勿論できますし、同じような電力消費量の家庭の人達とお気に入りの観光コースを電気自動車で競争しますので、省エネ意欲も向上すると考えております。

また、ゲーム上の観光コースの中にはショップやレストランも設けられますので、電力小売企業と提携して、電力小売企業が発行する電気クーポンをゲーム上のショッピングセンターで利用すると、現品が実際に家庭に配送されるなど、O2Oサービスにも展開できる構成になっております。

このエネルギーゲームで特許を取得したことにより、日本全国の家庭がエネゲーを利用して楽しみながら省エネができ、それにより電気料金が下がり、かつ、リアルな店舗と連動してサービスを受けることができるようになります。

そういう暮らしに役立つ楽しいエネルギーゲームを、ゲーム会社の方々と一緒に制作して全国に普及させたいと考えておりますので、ゲーム会社の皆さん、ご一報お待ちしております。

 

 

 

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Stadtwerke 訪問

Stadtwerke

先日、ドイツのフランクフルト市とリュッセルスハイム市の公営事業者であるStadtwerke(シュタットベルケ)を 訪問し、自治体が取り組む電力小売り事業について打合せをしてきましたので、本日はそのお話しをさせて頂きたいと思います。

今回、2つの都市のシュタットベルケを訪問した理由ですが、70万人の人口を抱えるフランクフルト市と6万人の地方都市であるリュッセルスハイム市の電力公営事業の違いを確認することにありました。

フランクフルト市が100%出資しているMainova社(シュタットベルケ)は、その傘下に発電会社、電力などの小売り会社、サービス会社を持ち、電力だけではなくガスや水道、熱の分野まで手掛け、発電についてはドイツ全土に供給する能力を備えており、大規模な公営事業を行っております。

一方のリュッセルスハイム市のシュタットベルケは、電力やガスは大部分をマーケットから購入して小売りを行う形態を取っており(一部、民間の再生可能エネルギー発電会社に出資)、その他の公営事業としては上下水道、公営バス、電話や通信事業を手掛けております。

ドイツの電力自由化は1998年に始まっており、それ以後に公営事業者が電力事業に参入しましたが、現在ではドイツ全土で約900社のシュタットベルケがあり、電力販売における市場シェアは20%程度を占めているとのことでした。

電力販売で多くのシェアを持っているのは既存の電力会社ですが、リュッセルスハイム市のシュタットベルケは2011年から電力販売を始め、わずか4年間で市内の電力販売におけるシェアを20%まで高めたので、市民が公営企業者によせる信頼度は相当に高いと感じました。

フランクフルト市のMainova社ではドイツの電力システム政策について説明頂き、概ね日本で構想されている内容と類似しておりますが、異なる点としては既に政策を実行しておりますので、課題も的確に把握しており、対策も具体的に打たれているので、日本も大いに参考になると考えております。

ドイツでは原子力や火力発電所などを減少させ、再生可能エネルギーによる発電比率を将来的には全発電量の80%まで高めるアグレッシブな目標を掲げて取り組んでおります。

発電が安定しない再生可能エネルギーを効率的に利用するシステムや技術も進んでいることから、この点についても日本に応用できると考えております。

弊社ではイギリスのケンブリッジ大学スマートシティ研究所と共同研究を締結しており、電力自由化先進国の状況をリサーチできる環境にありますので、その利点を活用し日本の電力小売り自由化への準備を加速しておりますので、引き続き、ご支援のほど、よろしくお願いいたします。

 

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