エプコが考える電力小売り市場でのビジネスモデル

エプコのスマートエネルギー技術

 当社は、大規模HEMS情報基盤整備事業での採択を千載一遇の好機と捉えており、これを契機に電力小売り市場への参入を加速させていく方針でありますので、本日は当社が考える電力小売り市場でのビジネスモデルについてお話しさせていただこうと思います。

 電力小売りの全面自由化によって顕在化する市場は、全国7,800万契約口、金額にして約7.5兆円にもなると試算されております。この自由化によって、あらゆるプレーヤーに事業参入の機会が生まれると考えております。

 当社もこれまで培ってきた住宅・家庭分野での設備設計力・顧客管理力・IT力の強みを活かして電力小売り市場へ参入しておりますが、当社自ら電力小売りを行うのではなく、電力小売りに参入しようとする企業や自治体へのインフラ提供をビジネス化する考えでおります。

 ここでいうインフラ提供とは、電力データなどを収集する情報基盤や、電力データを解析・加工してサービスに利活用するためのアプリケーション基盤の提供であり、正にここが今回採択された大規模HEMS情報基盤整備事業の内容と合致しており、大規模HEMS事業に参加するコンソーシアムメンバーの皆様と事業連携を図り、電力小売り市場での事業展開を加速していく方針であります。

 電力小売り市場で当社が関与する将来的なマーケットシェアを20%、約1,500万契約口を1つの目標にしています。当然、当社単独では難しく、さまざまな企業、自治体との協業を考えております。

 当社が考える電力小売りビジネスのポイントでありますが、家庭という小口の需要家1契約あたりから得られる利益は少額ですので、単なる電力販売だけでは収益の確保は難しいと考えております。電力小売りに参入する多くの企業との差異化も図ることができません。重要なのは、電力データなどを活用した独自性の高い生活支援サービスやエネルギーマネジメントサービスだと思います。

 電力小売り市場へ参入しやすい企業として、一般家庭に販路を持つスーパーやコンビニなどがありますが、スーパーが電力販売を行う場合、スーパーで電力契約すると店舗で利用できるクーポンがもらえるサービスは作りやすいと考えます。また、家庭の口座を把握している通信キャリア、クレジットカード業界なども、電力販売と合わせた割引プランなどが可能と思います。

 特に、自治体には電力小売り市場への参入に大きなチャンスがあると考えます。すでに水道や下水道という生活インフラを提供する自治体が、電力も提供するというのは自然な流れだと思います。実際にドイツでは、19世紀後半以降、水道、ガス、電気の供給や交通など、市内のインフラ整備・運営をするために発達してきた公的な事業体であるシュタットベルケが900程度存在し、ドイツの電力小売り市場で20%以上のシェアを持っております。

 自治体から電力を購入すると電気クーポンを発行し、公営バスや商店街で使えるようにすれば、地域の活性化にも結びつけやすく、雇用の創出、住民サービスの拡充にもつながります。また、電力データを利活用した高齢者見守りサービスは自治体の福祉体制の効率化に寄与できると考えており、自治体財政の補填になると思います。このように自治体が電力小売り事業に参入するメリットは非常に大きいと思います。

 当社では自治体が電力小売りに参入する際に必要となるシステムやバックオフィス業務、コンサルティングなどを1つのパッケージで準備する計画であり、今回の大規模HEMS情報基盤整備事業において、福岡県みやま市とコンソーシアムに参加するのはその一環であります。

  このように、電力小売り市場へ参入する企業や自治体には多くのチャンスがありますが、それを支える生活支援サービスやエネルギーマネジメントサービスを提供するためのアプリケーションや、電力データを解析・利活用できるシステムを構築するには、高い技術力とノウハウが必要になります。このため、当社では、企業や自治体の電力小売り参入を手助けするITプラットフォームサービスを提供していく考えでおります。

 また、電力小売り市場での優位性を確保するために、当社では今年1月にイギリス・ケンブリッジ大学のスマートシティー研究室と共同研究協定を締結しており、自由化先進国のノウハウや先端技術を吸収し日本へ展開することを目指して、ケンブリッジ大学と共に太陽光余剰電力予測や電力消費分析の技術開発をスタートしております。

 さて次回は、大規模HEMS情報基盤整備事業で、当社と共にコンソーシアムに参加いたします福岡県みやま市が、なぜ電力小売り市場へ参入するのかをご紹介させていただこうと思います。

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カテゴリー:スマートエネルギー