カテゴリー:IR | a route(みちすじ) - パート 4

中期経営計画達成への道筋⑦MEDXについて

2022年2月1日にプレスリリースいたしました、三井物産とエプコとの合弁会社であるMEDX株式会社の概要についてご説明いたします。

MEDX株式会社は三井物産51%、エプコ49%の合弁会社で、代表取締役社長は三井物産から、本社はエプコの東京本社内に設置し、事業開始予定日の4月1日に向けて準備を加速しております。

次にMEDX設立の目的に関してですが、カーボンニュートラルとデジタル技術はこれまでの住宅産業構造を抜本的に変革するパラダイムシフトであり、大きなビジネスチャンスと考えております。

住宅産業は、高齢化・脱炭素化・ストック住宅ビジネスへの対応が喫緊の課題であり、三井物産とエプコが共同して住宅産業のデジタル化(CRM+BIM)を推進し、ストック住宅市場の活性化ビジネスと脱炭素ビジネスを展開することを目的に設立いたしました。

そしてMEDXにおける両社の補完関係ですが、まず、住宅産業においてエプコグループが30年間培ってきた住宅関連の設計サービスやメンテナンスサービスの実績基盤があり、昨今ではBIMやCRMといったデジタルサービスを業界に先駆けて取り組んでいて、そこに三井物産のデジタル技術や脱炭素ノウハウ、住宅産業に関わる企業とのビジネスネットワークを付加することで、MEDX独自のプラットフォームサービスを開発し、住宅産業のバリューチェーンプレーヤーに提供していくことで、業界構造を変革し、新たな事業ポジションを創り出すことができると考えております。

新規顧客の開拓については、エプコグループがこれまでアクセスできていない新規のセグメントに対して、三井物産の営業ネットワークを通じて、幅広い関連プレーヤーを対象に営業提案を行い、顧客層の拡大を図ってまいります。

また、サービスについては、MEDX立上げ当初は、メンテナンス・リフォーム・買取再販などを支援するCRMプラットフォームサービスを中心に提供していく計画です。

その後、BIMを活用した新築向けのCO2排出量データサービスやプレファブ化サービスの提供など、MEDX独自のサービス開発を検討してまいります。

新築ビジネスが減少する中で、住宅関連プレーヤーはリフォームなどのストック住宅ビジネスの強化を目論んでおります。

一方で、アフターメンテナンスや点検を通じて居住者と永続的な関係を構築し、ストック住宅ビジネスを確立できているのは大手ハウスメーカーなど一部の企業に限られており、その大手ハウスメーカーでもデジタルツールを活用した居住者との双方向コミュニケーションによって情報共有できている企業はごくわずかです。

MEDXでは住宅関連プレーヤに対して、これまでエプコグループが提供してきた大手ハウスメーカー品質のメンテナンスサービスに加え、ストック住宅ビジネスの販売促進につながるMEDX独自の家歴データサービスやアプリサービスを提供してまいります。

エプコグループとしては、MEDXからメンテナンスサービスを受託することで増収につなげていき、MEDX本体の収益は持分法で経常利益に反映される、2通りの収益モデルで成長を図ってまいります。

2022年4月より、プライム市場に上場する企業にはTCFDルールに基づいた情報開示が義務化され、TCFDへの対応は新たな事業機会の創出と考えております。

そして、住宅産業においては、家庭部門におけるCO2排出量の全産業に占める割合が16%と高く、新築及び既存住宅へのカーボンニュートラル対応は喫緊の課題です。

一方で、住宅産業はすそ野が広く、資材の製造から加工、調達、現場での施工、居住後のメンテナンスに至るまで、CO2の排出量を工程別に把握できていないのが現状です。

このようなサプライチェーン全体におけるCO2排出量の算出と見える化が最終的なゴールですが、資材メーカーも住宅会社も手探りの状況ですので、当面はTCFDに対応する企業を集い、実証事業のような形でビジネスモデルを構築していきたいと考えております。

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中期経営計画達成への道筋⑥H-M事業

本日はH-M事業部のビジネスモデルについてご説明いたします。

H-M事業部では居住後の住宅全般のアフターメンテナンスを24時間365日で対応する、コールセンターサービスを提供しております。

主要顧客は大手ハウスメーカーで、全国160万世帯、年間60万件のメンテナンスに対応するストックビジネスとして、着実な成長を遂げております。

エプコが提供するサービスは、新築時の設計図面、工事業者リスト、修理履歴などを家歴データとして保管し、居住者と修理会社の間に入って修理調整するマネジメントサービスです。

一方でエプコグループの課題としては、ストック住宅の増加(=メンテナンス増加)に伴い、電話対応するオペレーションスタッフが比例的に増加し、業務スペースの拡張が必要な点です。

また、住宅産業の課題は、新築減少、ストック増加に伴う、リフォームや買取再販といったストック住宅に関わる循環型のビジネスモデルの確立と、デジタル化による業務の効率化です。

このストック住宅市場の課題を解決するソリューションサービスが、エプコグループが提供するCRMクラウドサービスになります。

CRMサービスでは、アフターメンテナンスのコールセンターに加え、専用の家歴アプリを提供することで、メンテナンスの効率化と低コスト化を図ります。

また、居住者向けのアプリサービスに加えて、修理会社向けのアプリサービスまで領域を広げ、収益源の多様化を図ります。

そして、これらのCRMサービスを充実させたうえで、既存顧客の住宅会社に加えて、TEPCOホームテックや三井物産との合弁会社であるMEDXを通じて、新規顧客開拓によりトップラインを伸ばしてまいります。

2022年におけるH-M事業部の事業計画ですが、ストックビジネスということもあり、売上高は前期比+1.5億円、11%の増収と着実な成長を見込んでおります。

主要顧客は大手住宅会社で、毎期、引渡し物件が積み上がるのに連動して、エプコグループの売上も増加してまいります。また、2021年下期から受託を開始した、大手住宅会社系列の賃貸アパート管理会社からのメンテナンスサービスの受託も増加中です。

加えて、収益源の多様化も進んでおり、カーボンニュートラル政策の追い風により、TEPCOホームテックからは住宅会社対応のBPO業務や、東京電力エナジーパートナーが提供する新電化サービスのサポートセンターの受託が開始されます。

更に、三井物産とエプコの合弁会社であるMEDXからも新規顧客の受託を目論んでおります。

次回はMEDXについて詳しくご説明いたします。

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中期経営計画達成への道筋➄D-TECH事業

エプコグループが脱炭素化とデジタル化で、住宅分野のESG支援事業を展開するにおいて、これまでのビジネスモデルがどのように変革されて、いかに付加価値が高まるのかについて、各事業部別に、ご紹介させていただきます。まず、D-TECH事業部からご説明いたします。

D-TECH事業部のこれまでのビジネスモデルは、新築低層住宅の水回り配管などをプレファブ化して現場の効率化を図る、設備特化型のサプライチェーンマネジメントを提供しております。

主要顧客は大手ハウスメーカーで、資材メーカーや販売会社がエプコのパートナーとなり、新築低層住宅の市場シェアは約14%まで成長し、安定的な経営基盤を構築しております。

一方でエプコグループの課題は、新築住宅の減少と設計サービスの汎用化に伴う成長の伸び悩みです。

また、住宅産業の課題としては、デジタル化が遅延し、業界全体の労働生産性の低さと、ZEHを含む住宅本体の脱炭素化の推進とCO2排出量の見える化です。

この住宅産業の課題を解決するソリューションサービスそのものが、D-TECH事業部のこれからのビジネスモデルになります。

まず、住宅産業は高齢化が進み、熟練工の職人も不足し、若年層の業界参入も進まない中、一定数の外国人技能実習生によって施工現場が支えられており、その傾向は今後益々顕著になっていくことが予想されます。

これまでは職人の経験で施工品質が担保されておりましたが、今後は習熟した技能を持つ職人の絶対数が不足しますので、誰が見てもわかりやすい3次元図面と、間違えずに施工ができるプレファブ資材の領域拡大が必須になります。

エプコグループでは業界に先駆けて、2次元設計図を3次元設計図に、2次元CAD技術者を3次元BIM技術者に育成することで、設備中心の2次元設計サービスから、建築全般の3次元フルBIM設計へサービス領域を広げることができ、その結果、設計単価の向上が図れます。

また、顧客についても、3次元フルBIM設計サービスを提供することで、戸建中心の大手ハウスメーカーから、賃貸住宅や店舗などを手掛ける新規顧客、ゼネコンなどの開拓で、売上拡大を図ることが可能です。

加えて、BIMを活用することにより、建築段階で発生するCO2排出量の算出サービスも手掛け、セールスミックスによりトップラインを伸ばしていくことが可能です。

2022年におけるD-TECH事業部の事業計画は、BIMクラウドサービスの立上げ時期ということもあり、売上高は前期比+1.4億円、6%強の増収で計画しております。

事業計画の内訳ですが、既存顧客に対しては、2通りでBIM設計サービスへの移行を進めてまいります。

1つ目は、一部の既存住宅会社へ建築全体のフルBIM設計を提案しております。

2つ目は、既存サービスである2次元の設備設計図に加えて、3次元の設備設計データの提供サービスを準備しております。

次に新規案件としては、住宅会社でカーボンニュートラル対応が加速しておりますので、ZEH(ネットゼロ・エネルギーハウス)の省エネ評価対応や、BIMと絡めたTCFDのコンサルティングを計画しております。

また、住宅会社以外の取組みとしては、大手ゼネコンでBIMの採用が進む中、製品メーカーが提供している製品図面のBIM化や店舗、電力施設などへのBIM化を視野に入れて、営業活動を行っていく方針です。

▲既存取引先の大手住宅会社でBIM設計ニーズが高まっており、本格採用に向けてフルBIM設計のトライアルを継続中です。

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