脱炭素から始まる住宅産業の電化-5

経済産業省や国土交通省などは2030年までに新築戸建て住宅の60%に太陽光発電設備を設置する目標を設ける検討に入ったようです。

現状は10~20%の搭載率ですが、2030年度の総発電量の36~38%を再生可能エネルギーでまかなうために大幅に引き上げる計画です。

一方で、新築住宅への太陽光設置の義務化は見送るため、どのように推進するかが課題になり、太陽光パネルなどの電化設備を初期費用ゼロ円で設置でき、電化設備を定額利用するサブスクモデルのような新たなサービスの普及が求められております。

河野太郎規制改革相のもとに設けた再エネに関するタスクフォースで、経産省、国交省、環境省の3省が2030年度に温暖化ガスの排出量を2013年度比で46%削減する目標の達成に向けて再エネの普及拡大を促すようです。

現状、大手住宅メーカーによる注文戸建ての50%近くで太陽光パネルが設置されておりますが、中小の住宅会社や分譲住宅ではほとんど設置されていません。

これを2030年までに大手ハウスメーカーで90%、中小・分譲住宅で50%の設置することで、新築住宅の60%程度に設置する試算をしております。

この計画が実現した場合、2030年で90億KW/時程度の発電量になり、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)の普及支援や、再エネの買い取り制度、事業者や消費者への情報提供などで太陽光の設置を後押しする考えのようです。

経産省はこのほど示したエネルギー基本計画の原案に、総発電量に占める再エネの割合を2019年度の18%から2030年度は36~38%に高めると記載しており、この水準まで引き上げるための対策はまだ不明瞭な部分が残っており、関係省庁は検討を続けているようです。

また、新築住宅での太陽光発電による発電量90億KW/時は、日本の総発電量の1%程度の規模となるようです。

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脱炭素から始まる住宅産業の電化-4

2030年度の温暖化ガス排出量を2013年度比46%減らす政府目標の内訳が発表されました。

再エネ大量導入で家庭部門は66%削減、工場などの産業部門は37%の削減を見込んでおり、家庭部門の削減目標が突出しています。

2013年度の排出量は二酸化炭素(CO2)換算で約14億800万トン、国際公約の46%削減には6億4800万トン減らす必要があるようです。

電力や熱供給などに伴う化石燃料の燃焼といったエネルギー部門で排出量が全体の80%以上を占めており、電力を再生エネに切り替える分が削減量に大きく寄与するとのことです。

内訳としては6億4800万トンの削減量の25%は産業部門で担い、残りの75%は家庭部門での削減を目指す目標となっているようです。

家庭部門は工場と比べ熱よりも電気を使う比率が高く、再エネ由来の電気に切り替えられることで温暖化ガス排出量を大幅に減らせると判断しているようです。

政府のエネルギー基本計画では、電力供給に占める再エネ比率を36~38%、原子力発電を20~22%に高めることが大前提となっております。

一方で2019年度の再エネの比率は18%、原発は6%で、2030年度までに再エネ比率を高める施策としては、スケジュールを考えると実質は太陽光発電だけのようです。

しかし、日本は国土面積あたりの太陽光の設置量がすでに主要国で最も多く、さらに拡大するには農地転用や住宅(新築・既築)への太陽光パネルの設置しか方法がありません。

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脱炭素から始まる住宅産業の電化-3

本日からは脱炭素社会を実現するために、住宅業界が果たすべき役割について紹介していきたいと思います。

先般、国土交通省、経済産業省、環境省による有識者会議で、脱炭素社会の実現に向けた住宅・建築物の対策案が示されました。

その中で新築住宅における太陽光発電の設置義務化は見送りとなりましたが、住宅の省エネ義務化が明示され、各省庁は関連法改正を行う予定でおります。

2021年4月に施行した改正建築物省エネ法では、大規模建築物だけでなく、延べ床面積300平方メートル以上の新築ビルや商業施設も追加されましたが、今後は新築住宅も対象になる予定です。

省エネ基準では外壁や窓の高断熱仕様、高効率な空調、LED照明などの導入といった対策が必要になり、国交省の試算では平均的な戸建て住宅で省エネ基準を満たすには約11万円の追加費用が発生するようです。

一方で、課題は、既存住宅の省エネ対策にあります。
新築の戸建住宅は既に80%が省エネ基準を満たしているようですが、約5000万戸に上る既存住宅は11%しか省エネ基準に適合していないとのことです。

補助金や減税などの支援策を打ち出しても消費者の意識が変わらなければ脱炭素社会の実現は進展せず、事業者や国民の意識を高められるかが脱炭素のカギを握っております。

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