2018年9月の記事

インド市場調査レポート・3

本日は建築設備の観点から、インドのマンション建築の現状についてお話しさせていただきます。

現在のインドの建築工法は、現場でコンクリートを打設する柱梁構造が主流で、住戸内部の壁は発泡軽量コンクリートで造作されております。

この建築工法は中国と同様で、構造躯体である床や外壁などを造る場合、鉄筋で配筋した後にべニア板で型枠を造り、その中にコンクリートを打設します。

注)このベニヤ材を使用した型枠は、型枠の造作作業に時間が掛ったり、型枠精度のばらつきによる構造躯体の品質低下、べニアの残材による環境への悪影響などの観点から、中国の工業化住宅ではべニア材に代わり鋼製型枠の採用が進んでおります。

そして建築現場の印象は比較的きれいで、排水管や給水管も整然と配置されており、設備設計図面を作成し、図面通りに現場で施工されていると感じました。

一方で、内壁(発泡軽量コンクリート)に溝を入れて配管や電線を埋設する施工方法は中国を含めインドも同様で、施工に手間が掛るほか、後あとのメンテナンスもしずらいので、日本のように石膏ボードを使用して中空壁を造り、その中に配管や配線を通す施工方法が良いと思うのですが、引き渡し後のメンテナンス性よりも、コストを抑えて販売を優先するデベロッパーの意識改革を待つ状況です。

写真は浴室内部(洗面・シャワー・トイレが一体となって配置されている)ですが、シャワーの排水が階下(階下の住戸天井内)に配管されているので、これもメンテナンスの時に階下の他人の浴室天井を壊して作業する必要があり、改善の余地が多分にあると思います。

注)10年前の中国も同様でしたが、最近の中国の工業化住宅では、階下への配管はしないようになってきております。

このようにインドのマンションの建築工法おいては発展途上の段階ですが、中国のマンション施工技術の発展状況を見ていると、今後インドでも、施工面、品質面、物流面で大きな進展があるものと思われ、エプコが日本や中国で展開している住宅工業化モデルを、インドでも水平展開できるのではと考えております。

【参考】

こちらの分譲住宅は低層住宅ですがファシリティーも充実している富裕層向けのマンションで、1住戸の平均が約300㎡、価格は300,000USDということでした。

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インド市場調査レポート・2

インドでトップ10に入るデベロッパーが手掛けるマンションの建築現場を視察いたしました。

ムンバイ国際空港から約30km離れた場所にある住宅街の周囲には、高層マンションがいくつも建築されており、インドの経済発展を感じることができました。

建築現場の状況から感じられる時代感は、中国の都市部と比較すれば10年前の水準であり、インドの上場企業のデベロッパーが手掛ける建築となると、それなりの工事品質を保っていると感じました。

トップ集団に入るデベロッパーは海外の建築技術やランドスケープを勉強しており、自社で展開するインドの分譲物件に取り入れておりますので、日本や中国で進んでいる建築工業化の仕組みについても、近いうちに採用してくるものと思われます。

中国でも万科集団というトップ3に入るデベロッパーが建築の工業化工法を採用し、それが中国の工業化住宅の基本となりました。

インドでも万科のような先進的なデベロッパーと組んで、建築や設備の工業化工法の研究開発に取り組むのがよいのでは感じております。

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インド市場調査レポート・1

先日、1週間のスケジュールでインドのムンバイとニューデリーに、マンション開発の市場調査に行ってきましたので報告させていただきます。

まずはインドの概要から紹介させていただきます。

インドの人口は約13.3億人(日本の10倍)で、国土は約3,300万㎡(日本の8.8倍)、言語は23あり、名目GDPは2.3兆USD(日本の50%)です。

一人当たりGDPは2016年時点で約1,700USD(日本の1960年代、アジア諸国の5‐10年前水準)です。

宗教はヒンドゥー教(80.5%)、イスラム教(13.4%)、キリスト教(2.3%)、シーク教(1.9%)、仏教(0.8%)となっております。

人口は2024年には約14.4億人となり、中国を抜き最大になる見通しです。また、人口に占める割合で35歳以下が60%となっており、年間約1,000万人規模で労働人口が増加しております。

中間層(年収34万‐170万円と定義)は2015年時点で約6,000万世帯、2025年には1億2,800万世帯に倍増する予測が出ております。

インドは潜在的な経済成長力があると言われておりますが、感覚的には中国の15‐20年前と同じ印象を持ちましたので、ビジネスを仕込むには今から手掛けるのがちょうどよいと感じました。

【参考】

EUの人口は約4.4億人、国土は約4,300百万㎡、言語は23、名目GDPは13.8兆USD。

ASEANの人口は約6.5億人、国土は約4,500百万㎡、言語は12、名目GDP2.5兆USD。

一人当たりGDP(USD):日本(39,000)、中国(8,100)、タイ(5,900)、インドネシア(3,600)

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