福岡県みやま市が、なぜ電力小売り市場へ参入するのか?

福岡県みやま市の電力小売り市場参入

 本日は、当社と共同で大規模HEMS情報基盤整備事業に参加する福岡県みやま市が、大規模HEMS事業への参加を契機に、自治体である みやま市が、なぜ電力小売り市場への参入を検討しているのかについて、お話しさせていただこうと思います。

 大規模HEMS事業の採択を受けて、福岡県みやま市役所では、8月1日付でエネルギー政策推進室が新設されました。みやま市長は新エネルギー宣言を行い、今後、大規模HEMS事業の立ち上げ、自治体自らが電力小売りに関与する自治体PPSへの展開、みやま市全世帯へのHEMS導入、それにより市全体をスマートエネルギーシティーに創り上げ、全国自治体のモデルになるよう強力に推進していく方針であると発表しております。

 みやま市では、市役所内にエネルギー政策推進室を設置し、みやま市職員3名が指名され、同時に当社からも1名がみやま市の職員として辞令交付を受け、大規模HEMS事業を自治体と当社が一体となって推進する体制にいたしました。この大規模HEMS事業を一過性ではなく、持続可能な事業モデルとして運営する意気込みが組織にも現れていると感じております。

  福岡県みやま市が電力小売り市場への参入を検討する背景として、みやま市を含め、全国で自治体が関与する形で再生可能エネルギー設備の設置が拡大傾向にあり、電力供給の地域分散化が進んできていることがあげられます。このような取り組みにより、自治体では遊休地など地域資源を有効活用し、再生可能エネルギーによる地域振興をめざす動きが全国に広がってきております。

 みやま市では、2016年の家庭向け電力小売り自由化以降は、これまでのような再生可能エネルギーからの売電だけではなく、みやま市民に自治体が直接電力を供給するモデルを検討しております。

 全国の多くの自治体では、水道事業や下水道事業を永年に渡り手掛けており、メータ検針や請求業務なども含めたインフラ事業に係わる市民サービスは豊富な経験と実績があります。これらに加え、電力小売り事業も市民サービスの一環として提供することは、市民や自治体にとっても数多くの利点があると考えます。

 市民にとってのメリットは、水道・下水・電気が1本化されるので、引っ越し時の契約変更や請求書、支払いなどの煩雑さが削減されます。また、自治体によっては水道・下水・電気料金のセット割引などもできるかもしれません。

 自治体によっては、水道メータと電気メータの検針作業を1人で行うことで業務コストの削減につながりますし、請求書の発行も一本化できれば郵送コストの削減が可能になります。自治体が電力小売りに関与すれば、電力販売の収益が自治体財政の補填にもつながりますし、雇用の創出にも寄与すると考えます。

 自治体が電力小売りに参入するには、家庭用の低圧電力取引きに係わるシステムや電力業務全般、自治体ならではの特徴ある電気料金プラン、電力データを利活用した市民に役立つエネルギーマネジメントサービスや生活支援サービスが特に重要と考え、全国自治体のモデルとなり、かつ、水平展開可能なビジネスモデルのパッケージ化を目指しております。

 当社では、みやま市の家庭から得られる電力ビッグデータの解析、HEMSアプリケーションの提供、電力データを利活用したサービス提供、電力取引システム及バックオフィス業務の提供などを通じて、みやま市から全九州へ、そして全国自治体へ、自治体が関与する電力小売り導入パッケージモデルの推進を図っていく方針であります。

 このように全国に約1,700ある自治体が電力小売りに参入することで、地域経済が動き出しますし、地域独自の電力供給や料金プランなどで市民の選択肢が広がり、市民生活にも好影響があると考えます。

  当社では自治体の電力小売り参入をサポートさせていただきながら、広範なエネルギーサービスを展開していく方針であります。

 

 

 

 

カテゴリー:スマートエネルギー