経営者の求心力とガバナンスについて、その1

昨今、経営者にまつわる話題が世の中を騒がしておりますので、本日から3回に分けて、カリスマ経営者の求心力とガバナンスについてお話しさせて頂きたいと思います。

いつの時代もカリスマ経営者の求心力とガバナンスの両立は課題になっておりまして、今回の日産自動車に係る事件もその典型だと考えております。

著名な経営者であればあるほど、そのカリスマ性は抜きん出ております。

私が考えるカリスマ経営者の優れた点は、求心力があり、危機突破力があり、イノベーション力があり、改革力があり、推進力があり、経営に関する明確なヴィジョンを示し、組織を1つにまとめ上げて、即断即決で意思決定して、目標に向かって会社全体を前進させる力があります。

一方で、成果を上げ、永く経営に携わり、ブレない姿勢で経営にあたるカリスマ経営者に対しては、組織としてのガバナンスが効かなくなるデメリットもあるように感じます。

ちょっとおかしい、規程違反ではないか、と感じることがあっても、実績のあるTOPに物が言えず、内部統制や監査の機能が効かず、結果として法を逸脱してしまう事案もしばしば発生しております。

また、法を犯さなくても、意思決定の判断基準が独創的になりすぎて、判断ミスを重ねる結果も散見されます。

だからといって、経営トップを定期的に代える仕組みを作れば問題が解決するかといえば、また違う問題も発生してしまい、カリスマ経営者が代わった途端に業績が低迷してしまう企業もこれまで数多くありました。

こう考えると経営者の求心力とガバナンスの両立には名案がないのが現実であり、最終的には経営者の良心が健全であることが、この課題を解決する有効な手段であると考えております。

つづく。

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