サステナビリティ

TCFD提言に基づく情報開示

TCFD推奨開示項目1 ガバナンス

環境課題に関するガバナンス

当社グループは、サステナビリティ経営をグループ全社で横断的に推進するため、「サステナビリティ委員会」を設置しています。「サステナビリティ委員会」は、当社グループの環境課題に対する実行計画の策定と進捗モニタリングを行い、取締役会ではその内容について、論議・監督を行っています。

環境マネジメント体制図

環境マネジメント体制における会議体および役割

会議体 主なメンバー 気候変動に関する
主な役割
開催頻度
取締役会 取締役、社外取締役 気候変動戦略の監督 年4回
(四半期末)
総合リスク対策委員会 代表取締役CFO、執行役員 経営に係るリスク全般の管理 年4回
(四半期末)
サステナビリティ委員会 代表取締役CFO、執行役員 環境課題に係るリスク管理 年4回
(四半期末)

TCFD推奨開示項目2 戦略

当社グループの目指す姿とその実現に向けた挑戦

当社グループの事業戦略は脱炭素戦略と一致していることが大きな特徴です。例えば、エプコの祖業にあたる住宅向け給排水設備設計サービスでは、施⼯現場の省⼒化や配送回数や費用の削減など、環境負荷の低減に貢献しています。

また、2017年には省エネサービスを開始。「省エネをすべての家に。」を目指して住宅の省エネ総合サービスを提供するため、東京電力エナジーパートナー株式会社との合弁会社としてTEPCOホームテック株式会社(以下、THT)を設立いたしました。ついで、2020年にはTHTが受託した省エネ工事の施工機能を補完する目的で、ENE's株式会社を子会社化しています。

当社グループの既存戦略の強靭性に関する確認結果

既存の戦略の妥当性を検討しました。この結果、低炭素社会への貢献を目指した当社グループの事業戦略は、移行リスク・物理的リスク共に、致命的な影響は見受けられないものと判断しました。

シナリオ分析の手法を用いた課題への対応

当社グループは全事業を対象に1.5℃シナリオに向けて事業転換を図りつつあります。この際の移行リスクを考えた上で、4℃シナリオにおける異常気象などによる物理的リスクも想定して、既存の戦略の妥当性を検討しました。検討の前提は表3のとおりです。

表3 シナリオ分析の前提
項目 前提
シナリオ
  • 1.5℃シナリオのレベルで脱炭素社会を指向する社会環境が到来
  • 4℃シナリオのレベルでの気温上昇が発生
対象企業・事業 当社グループの全事業
定量/定性 当社グループの全事業を対象に、主に定性的に分析。特に重要と考える機会とリスクについて財務的影響金額を定量的に試算。
日本の市場規模の影響 当社グループは、その売り上げの多くを日本の市場が占めている。一方で、日本の住宅市場は、人口減少、少子高齢化等の影響を少なからず受け、その市場規模はゆるやかに縮小すると予測されている。そのため、この影響を考慮する意義は必ずしも低くないが、本分析では気候変動に焦点を当てるため、考慮しない。

当社グループの1.5℃シナリオにおけるリスクおよび機会

1.5℃シナリオでは、企業は脱炭素社会に対応することが求められます。このため、財務的な影響の大きなリスク要因を定性的に推定し、その中のリスクの大きな要因について財務的な影響を定量的に検討しました。その結果、低炭素社会への貢献を目指した当社グループの事業戦略は、移行リスク・物理的リスク共に、致命的な影響は見受けられませんでした。逆に、脱炭素社会への転換が進んでいるため、大きな機会が得られる可能性を見いだす結果となりました。

(1)当社グループのリスク

<A>炭素排出のコストが大幅に上昇するリスク

リスクの概要 脱炭素社会に向けた規制として炭素税が導入され、エネルギーコストが大幅に上昇するリスクが想定されます。当社グループにおける2022年度のCO2排出量は、Scope1及びScope2の合計で670(t-CO2)となります。
試算の結果、炭素税導入に伴う費用の増加は当社グループ全体で、2,852万円(年間)となります。これが収益に与える影響は、2022年度の売上高48.1億円の0.6%程度の影響となります。
対応方針 デジタル化に伴う業務効率向上により業務工数を削減するとともに、カーボンプライス政策動向のモニタリング、脱炭素・低炭素エネルギーの利用促進を進めてまいります。
定量的な影響 試算にあたっては、2030年時点で当社グループに発生する炭素税導入に伴う費用の増加を下記の算式及び条件で試算しました。
【算式】
炭素税導入に伴う費用の増加 = Scope1・2排出量 × 炭素価格
【条件】
  • 1.5℃シナリオの炭素価格は、IEAのNZEシナリオにおける2030年の先進国 (日本含む) 、主要な新興国 (中国含む) の炭素価格を使用
    (日本:14,300円/t-CO₂、中国:9,900円/t-CO₂)
  • Scope2排出係数はマーケット基準で算定し、各国の再エネ比率が上昇するため変化
    日本、中国におけるCO₂排出係数の現状値は2020年の実績値を参照し変化率を算定
    各電力会社の排出係数の変化率も、各国の変化率と同一と仮定
  • Scope1・2排出量と電力使用量が2030年までは中期経営計画の年平均成長率 (17.6%) で増加すると設定
なお、炭素価格算定の根拠につきましては、後述する「(参考)定量化情報の出所」の※1をご参照ください。
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<B>ZEH普及による競争激化リスク

リスクの概要 今後、ZEHの普及に伴って、住宅の電化が進み、エプコが提供している関連サービスへの新規参入が増加し、競争が激化する可能性がございます。
対応方針 TEPCOホームテック及びENE’sにて、原価低減の取り組みを継続的に実施してまいります。
定量的な影響 非算出
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<C>太陽光パネル・蓄電池の需要拡大に伴う供給不足(対象:省エネサービス)

リスクの概要 今後、太陽光パネル・蓄電池の需要が急拡大することで、供給不足が発生し、価格の上昇によるコスト増加や納期遅れが発生する可能性がございます。
対応方針 このリスク対して、TEPCOホームテックでは、在庫予測を適切に行って商材の早期予約の実施や、購買力を活かしてメーカー在庫を確保するとともに、キャンペーンによる商材の優先販売などの取り組みを実施してまいります。
定量的な影響 非算出
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(2)当社グループの機会

当社グループの全事業のうち、収益面で特に顕著な機会があると想定されるのは、設計サービス(省エネ関連の設計・申請サービスや温室効果ガス排出量の算出・削減支援サービス等)及び省エネサービス(太陽光パネル・蓄電池、EV関連工事等に関する工事請負)の2つの事業と捉えております。
脱炭素に向かう社会では、どのセグメントも大きな戦略の方向転換の必要性は無く、当社グループのビジネスの大きな柱となり得ると考えます。引き続き、市場ニーズの変化、国際社会の議論の動向、および地球温暖化の影響顕在化の状況を注視しつつ、必要に応じて当社グループの戦略の調整や必要な施策を進めます。

<D>省エネ基準の強化に伴う、売上機会の増加(対象:設計サービス)

リスクの概要 省エネ基準の強化やZEHの推進に伴って、省エネ性能の高い住宅設計に対する弊社の省エネ認証サポート業務への需要が増加する可能性がございます。
試算の結果、省エネ基準の強化に伴う省エネ認証サポート業務の市場規模は、52億円となりました。
対応方針 エプコにて、ZEH関連の設計及び申請のサービスラインを拡大してまいります。
定量的な影響 試算にあたっては、2030年時点で当社グループに発生する売上機会の増加を下記の算式及び条件で試算しました。
【算式】
省エネ基準の強化に伴う売上機会の増加 = ZEHの新規着工数 × 市場シェア × 単価向上率
【条件】
  • ZEHの市場規模(着工件数)は、NRIの2030年ZEH着工件数の予測値を使用
  • 市場シェアは2020年度のシェアと等しいと仮定
  • 1件当たり単価は4万円と想定
なお、ZEHの普及件数の根拠につきましては、後述する「(参考)定量化情報の出所」の※2をご参照ください。
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<E>EVの普及に伴うV2Hの需要増加(対象:省エネサービス)

リスクの概要 EVの普及に伴って、V2Hの需要が増加する可能性がございます。
試算の結果、EV普及に伴うV2Hの市場規模は、2,530億円となりました。
対応方針 今後のEV普及を見据えたV2H工事受託の体制整備を進めてまいります。
定量的な影響 試算にあたっては、2030年時点でEV普及に伴うV2Hの市場規模を下記の算式及び条件で試算しました。
【算式】
蓄電池の売上機会の増加 = 住宅用蓄電池設置台数 × 1件当たり単価 × 市場シェア
EV普及に伴うV2Hの市場規模 = 新車販売台数(台) × EV比率 × 導入割合 × 機械単価
【条件】
  • 新車販売台数は、東京都主税局「自動車関連税制に関する税収シミュレーション調査」のベースシナリオ予測値を使用
  • EV比率は、新車にしめるEV比率(EV)が2030年時点で66%になると想定
  • 導入割合は10%と想定
  • 機械単価は実績値より100万円と設定
なお、EVの普及件数の根拠につきましては、後述する「(参考)定量化情報の出所」の※3をご参照ください。
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<F>防災・カーボンニュートラルの意識向上に伴う省エネ機器の需要増加(対象:省エネサービス)

リスクの概要 台風等の激甚化に伴って防災やカーボンニュートラルへの意識の高まりから、太陽光パネルや蓄電池の需要が増加する可能性がございます。
試算の結果、防災・カーボンニュートラルの意識向上に伴う売上機会の増加は、487億円となりました。
対応方針 TEPCOホームテックにて、住宅会社等との提携強化及び東京電力エナジーパートナー社が推進する電化戦略との連携を強化してまいります。
定量的な影響 試算にあたっては、2030年時点で当社グループに発生する売上機会の増加を下記の算式及び条件で試算しました。
【算式】
防災・カーボンニュートラルの意識向上に伴う売上機会の増加 = 太陽光(新築向け)の売上機会の増加 + 太陽光(既存向け)の売上機会の増加 + 蓄電池の売上機会の増加
太陽光(新築向け)の売上機会の増加 = 新築住宅太陽光設置件数 × 1件当たり単価 ×市場シェア
太陽光(既存向け)の売上機会の増加 = 既存住宅太陽光設置件数 × 1件当たり単価 × 市場シェア
蓄電池の売上機会の増加 = 住宅用蓄電池設置台数 × 1件当たり単価 × 市場シェア
【条件】
  • 太陽光(新築)
    • 新築住宅着工件数は、NRIの予測値を使用
    • 太陽光設置割合は、国土交通省「2030年の目指すべき住宅・建築物の姿」の目標値を使用
  • 太陽光(既存)
    • 既存住宅の太陽光設置件数は、資源総合システムの予測値を使用
  • 蓄電池
    • 蓄電池導入台数は、MRIの予測値を使用
  • 共通
    • 市場シェアは、太陽光(新築)を15%、太陽光(既存)及び蓄電池を10%と想定
    • 1件当たり単価は、将来の価格低下を見込んで60万円と想定
なお、太陽光パネルの普及件数の根拠につきましては、後述する「(参考)定量化情報の出所」の※4を、蓄電池の普及件数の根拠につきましては※5をご参照ください。
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<G>温室効果ガス排出量に関する情報提供の需要増加(対象:設計サービス)

リスクの概要 ハウスメーカーの温室効果ガス排出量削減の動きに伴って、建設資材からの温室効果ガス排出量やエネルギー使用量などの計測が必要になる可能性があり、これらの情報提供を可能とするBIM設計の需要が増加する可能性がございます。
試算の結果、温室効果ガス削減情報需要拡大に伴うBIM設計の市場規模は、538億円となりました。
対応方針 BIMを活用した建築ライフサイクル全般に関する温室効果ガス排出量の算出モデルの整備を進めてまいります。
定量的な影響 試算にあたっては、2030年時点で当社グループに発生する売上機会の増加を下記の算式及び条件で試算しました。 【算式】
温室効果ガス削減情報需要拡大に伴うBIMの市場規模 = 新築マンション・アパートの着工数(戸) × m2換算係数 × m2当たり単価
【条件】
  • 新築マンション・貸家市場における展開を想定
  • 新築マンション・貸家着工件数は、NRIの予測値と住宅着工統計から推計
  • 1件当たりm2数は住宅着工統計における2020年度のm2数から推定
  • m2当たり単価は3千円と想定
なお、新築マンション・アパートの着工数の根拠につきましては、後述する「(参考)定量化情報の出所」の※6をご参照ください。
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当社グループの4℃シナリオにおけるリスクおよび機会

4℃シナリオでは、企業は脱炭素社会に移行してもなお、異常気象による物理的なリスクを免れないことになります。ここでは自然災害の激甚化および慢性的な気温上昇に関するリスクを検討した結果、大きなリスクは見受けられませんでした。逆に、自然災害の増加にともない防災意識が高まることが想定されるため、事業機会を得ると考えています。

(1)当社グループのリスク

<H>固定価格買取制度の売電価格低下リスク(対象:省エネサービス)

リスクの概要 今後、固定価格買取制度における売電価格が低下することで、太陽光発電関連事業の損益が悪化する可能性がございます。
対応方針 それに対して、TEPCOホームテックでは、原価低減の取り組みを継続的に実施しています。具体的には、材料や流通コスト、施工、事務手続に関する改善活動を実施しており、固定価格買取制度による売電価格が低下したとしても、競合優位性を確保できると考えています。
定量的な影響 非算出
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<I>ZEH普及による競争激化リスク(対象:省エネサービス)

リスクの概要 今後、太陽光パネル・蓄電池の需要が急拡大することで、供給不足が発生し、価格の上昇によるコスト増加や納期遅れが発生する可能性がございます。
対応方針 このリスク対して、TEPCOホームテックでは、在庫予測を適切に行って商材の早期予約の実施や、購買力を活かしてメーカー在庫を確保するとともに、キャンペーンによる商材の優先販売などの取り組みを実施してまいります。
定量的な影響 非算出
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<J>自然災害が激甚化するリスク(当社グループ全体)

リスクの概要 4℃シナリオにおいては、自然災害の激甚化による台風や水害の増加により、事業拠点が被災し、営業停止や復旧コストが発生するリスクがあります。また、工程遅延が発生し、対応費用が生じる可能性がございます。
対応方針 当社グループでは、それぞれの事業を複数の拠点で実行できる体制を有しております。また、事業継続性を高める目的で、2021年には石川県金沢市に新拠点を開設しており、事業の強靱化を図って参ります。
定量的な影響 非算出
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<K>自然災害が激甚化するリスク(TEPCOホームテック)

リスクの概要 台風等の激甚化で、TEPCOホームテックが提供する省エネ機器サブスクサービス(サービス名、エネカリ)において提供している設備の故障が増え、修理費用・補償費用が増加する可能性がございます。
対応方針 このリスクに対し、TEPCOホームテックでは、効率的な修理体制を整備し、柔軟にビジネススキームを変化させることで対応する方針です。
定量的な影響 非算出
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<L>慢性的な異常気象(気温上昇、海面上昇)のリスク(対象:省エネサービス)

リスクの概要 平均気温の上昇に伴って熱中症リスクが高まる等、施工現場の労働環境が悪化し、生産性の低下や対策コストが発生するリスクがあります。
対応方針 これに対し、当社グループでは、施工に係る改善活動により作業時間を短縮させて、熱中症リスクの高い時間帯を避けた作業スケジュールの組み立てを行う方針です。
また、施工担当者に対してファン付き作業服や経口水を配布するなど、熱中症リスク緩和のための取組みを推進してまいります。
定量的な影響 非算出
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(2)当社グループの機会

<M>省エネ基準の強化に伴う、売上機会の増加(対象:設計サービス)

リスクの概要 省エネ基準の強化やZEHの推進に伴って、省エネ性能の高い住宅設計に対する弊社の省エネ認証サポート業務への需要が増加する可能性がございます。
試算の結果、省エネ基準の強化に伴う省エネ認証サポート業務の市場規模は、31億円となりました。
対応方針 エプコにて、ZEH関連の設計及び申請のサービスラインを拡大してまいります。
定量的な影響 試算にあたっては、2030年時点で当社グループに発生する売上機会の増加を下記の算式及び条件で試算しました。
【算式】
省エネ基準の強化に伴う売上機会の増加 = ZEHの新規着工数 × 市場シェア × 単価向上率
【条件】
  • ZEHの市場規模(着工件数)は、据え置きと仮定
  • 市場シェアは2020年度のシェアと等しいと仮定
  • 1件当たり単価は4万円と想定
なお、ZEHの普及件数の根拠につきましては、後述する「(参考)定量化情報の出所」の※2をご参照ください。
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<N>EVの普及に伴うV2Hの需要増加(対象:省エネサービス)

リスクの概要 EVの普及に伴って、V2Hの需要が増加する可能性がございます。
試算結果、EV普及に伴うV2Hの市場規模は、498億円となりました。
対応方針 今後のEV普及を見据えたV2H工事受託の体制整備を進めてまいります。
定量的な影響 試算にあたっては、2030年時点でEV普及に伴うV2Hの市場規模を下記の算式及び条件で試算しました。
【算式】
蓄電池の売上機会の増加 = 住宅用蓄電池設置台数 × 1件当たり単価 × 市場シェア
EV普及に伴うV2Hの市場規模 = 新車販売台数(台) × EV比率 × 導入割合 × 機械単価
【条件】
  • 新車販売台数は、東京都主税局「自動車関連税制に関する税収シミュレーション調査」のベースシナリオ予測値を使用
  • EV比率は、新車にしめるEV比率(EV, PHV, FCV, HV)が2030年時点で66%になると想定、EVのみの場合は、13%と想定
  • 導入割合は10%と想定
  • 機械単価は実績値より100万円と設定
なお、EVの普及件数の根拠につきましては、後述する「(参考)定量化情報の出所」の※3をご参照ください。
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<O>防災・カーボンニュートラルの意識向上に伴う省エネ機器の需要増加(対象:省エネサービス)

リスクの概要 台風等の激甚化に伴って防災やカーボンニュートラルへの意識の高まりから、太陽光パネルや蓄電池の需要が増加する可能性がございます。 試算の結果、防災・カーボンニュートラルの意識向上に伴う売上機会の増加は、193億円となりました。
対応方針 TEPCOホームテックにて、住宅会社等との提携強化及び東京電力エナジーパートナー社が推進する電化戦略との連携を強化してまいります。
定量的な影響 試算にあたっては、2030年時点で当社グループに発生する売上機会の増加を下記の算式及び条件で試算しました。
【算式】
防災・カーボンニュートラルの意識向上に伴う売上機会の増加 = 太陽光(新築向け)の売上機会の増加 + 太陽光(既存向け)の売上機会の増加 + 蓄電池の売上機会の増加
太陽光(新築向け)の売上機会の増加 = 新築住宅太陽光設置件数 × 1件当たり単価 × 市場シェア
太陽光(既存向け)の売上機会の増加 = 既存住宅太陽光設置件数 × 1件当たり単価 × 市場シェア
蓄電池の売上機会の増加 = 住宅用蓄電池設置台数 × 1件当たり単価 × 市場シェア
【条件】
  • 太陽光(新築)
    • 新築住宅着工件数は、NRIの予測値を使用
    • 太陽光設置割合は、据え置きと仮定
  • 太陽光(既存)
    • 既存住宅の太陽光設置件数は、据え置きと仮定
  • 蓄電池
    • 蓄電池導入台数は、据え置きと仮定
  • 共通
    • 市場シェアは、太陽光(新築)を15%、太陽光(既存)及び蓄電池を10%と想定
    • 1件当たり単価は、将来の価格低下を見込んで60万円と想定
なお、太陽光パネルの普及件数の根拠につきましては、後述する「(参考)定量化情報の出所」の※4を、蓄電池の普及件数の根拠につきましては※5をご参照ください。
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TCFD推奨開示項目3 リスク管理

当社グループ全体に係るリスク管理

当社グループは、リスクを「環境変化の中で、組織の収益や損失に影響を与える不確実性」と定義しています。
リスクには、プラス面(機会)、マイナス面(脅威)の両面があり、企業が適切に対応することより、持続的な成長につながると考えています。

また、当社グループは、リスクを戦略の起点と位置づけ、全社的に管理する体制を構築することが重要であると考えています。
「総合リスク対策委員会」では、外部環境分析をもとにリスクを識別・評価し、優先的に対応すべきリスクの絞り込みを行い、当社グループの戦略に反映して対応しています。

環境課題に係るリスク管理

当社グループは、「総合リスク対策委員会」で特定したリスクのうち、環境課題に係るリスクについて、「サステナビリティ委員会」の中でより詳細に検討を行い、各グループ会社・事業部と共有化を図っています。

各事業会社・事業部では、気候変動の取り組みを実行計画に落とし込み、一同で論議しながら実行計画の進捗確認を行っています。

その内容について、「総合リスク対策委員会」および「サステナビリティ委員会」において、進捗のモニタリングを行い、最終的に取締役会へ報告を行っています。

リスク管理プロセス

リスク管理体制

リスク管理プロセス 担当する会議体
リスクの識別・評価・絞り込み 総合リスク対策委員会(経営に係るリスク全般が対象)
サステナビリティ委員会(環境課題に係るリスクが対象)
リスク対応 各事業部門
モニタリング・報告 取締役会
総合リスク対策委員会(経営に係るリスク全般が対象)
サステナビリティ委員会(環境課題に係るリスクが対象)

TCFD推奨開示項目4 指標と目標

Scope1・2温室効果ガス排出量実績

当社グループにおける温室効果ガス(以下、GHG)の排出量実績は、下表のとおりです。

2020年度 2021年度 2022年度 前年比
(%)
Scope1排出量
(t-CO₂)
168 174 177 101.4%
Scope2排出量
(t-CO₂)
553 597 493 82.5%
Scope1・2合計排出量
(t-CO₂)
721 772 670 86.8%
連結売上高
(億円)
43.8 47.0 48.2 102.6%
GHG排出原単位
(t-CO₂/億円)
16.5 16.4 13.9 84.6%
※上記排出量は、マーケット基準(Scope2を算定する際に、電力会社やメニューごとのGHG排出係数を用いる方法)にて算出しております。 GHG排出原単位は、連結売上高1億円当たりのGHG排出量(Scope1・2の合計)です。
※GHG排出原単位は連結売上高当たりのGHG排出量(Scope1・Scope2の合計)

過去3年間の推移

  1. 基本的な傾向としては、事業拡大に伴って事業活動・拠点が増加することで、排出量も増加傾向にあります。
  2. なお、2022年度の排出量(総量)が前期比で減少しているのは、沖縄オフィスデザインセンターが利用している電力会社(沖縄ガスニューパワー)が、バイオマス発電所を新設したことにより、二酸化炭素の排出係数が大幅に減少したことが、主たる要因です。
  3. また、GHG排出量(総量)は増加傾向にありますが、連結売上高当たりのGHG排出量は減少傾向にあります。

温室効果ガス排出量に関する当社グループの目標

前述した実績の推移を踏まえて、当社グループは今後の取り組みとして下記の事項を進めてまいります。

  1. Scope1・2におけるGHG排出量については、デジタル化による業務効率向上を推進することで、GHG排出量の削減に努めてまいります。また、GHG排出量の削減を行う上では、連結売上高当たりの排出量(GHG排出量原単位)をKPIとして設定し、定量的な管理を実施する方針です。
  2. Scope3におけるGHG排出量についても、今後集計の精緻化を図るとともに目標設定に向けて取り組んでまいります。
  3. 当社グループにおけるGHG排出量を削減するにあたり、再生可能エネルギーの調達やJクレジットの導入についても併せて検討いたします。
  4. 当社グループにおけるGHG排出量の削減に努めるとともに、脱炭素社会に貢献するサービスを提供することで取引先企業におけるGHG排出量を削減することについても注力してまいります。