建築業界の現場感覚とITの融合・進化を目指す-H-M事業部榑沼さんインタビュー

建築業界の現場感覚とITの融合・進化を目指す-H-M事業部榑沼さんインタビュー

こんにちは。エプコ広報部の佐藤です。前回のD-TECH事業部の楊さんとの対談に引き続き、新組織体制における事業部長との対談をお届けしていきたいと思います。

今回はH-M(ハウスマネジメント)事業部長榑沼(くれぬま)さんと対談しましたので、ご紹介いたします。

H-M事業部(旧:メンテナンスサービス事業部)ご紹介

広報:新組織体制でメンテナンス事業部からH-M(ハウスマネジメント)事業部に名称が変わりましたね。まずはH-M事業部の事業内容について教えてください。

榑沼:エプコのハウスマネジメント事業部は住宅のメンテナンスや維持管理をお手伝いする生活インフラ事業です。コールセンター業務及び住宅のメンテナンス履歴の維持・管理とそのシステムを自社で独自開発、そのシステムを活用した履歴データの分析業務を行っています。

広報:住宅事業者向けコールセンターでは、D-TECH事業部で作成した新築時の設計図面を利用して引き渡し後のメンテナンスやリフォーム履歴を一元管理しているのですよね。

榑沼:そうですね。問合せを受けた際には履歴をもとにメンテナンス業者を選定し、修理の対応依頼まで一手に実施することで住宅事業者のサポートを行っています。

また、メンテナンス情報を分析し、故障が起きないような仕組みの商品開発やお客様にとって最適なリフォームを提案し、快適な暮らしを継続していただくという活動を行っています。

広報:今後の具体的な取り組みについてもお聞かせ願えますか?

榑沼:先ほど触れたメンテナンスデータにAIを組み合わせてデータ分析の効率化を図ります。また、デジタル技術を活用することで設備機器をモニターして機器故障の事前察知や省エネにつながるサービスを実現したいと考えています。

榑沼:また、電力事業のコールセンターでは、電力利用情報も紐付けることができるので、何か活用できないかと考えています。個人情報の話しとか、法的に整理が必要な内容があり、難しいところがありますが。

建築TECH企業に向けた思い

広報:先ほど触れたデジタル技術の活用という文脈でお話を聞かせてください。エプコは建築TECH企業というビジョンを掲げていますが、H-M事業部としての取り組みやお考えを教えてください。

榑沼:まず建築TECHという言葉は、一般的に建築におけるITの活用を表していて、スタートアップの創業会社もいくつかある領域ですね。日本における建設業界の市場規模は約50兆円、世界第3位の市場規模をもっていますので、建築TECH市場もそれなりにあると想定されます。

榑沼:建築業界はIT化が遅れているといわれており、実際そうだとも思いますが、私は一概にそうでもないと考えています。

広報:詳しく聞かせていただけますでしょうか?

榑沼:表現の差のように聞こえるかもしれませんが、建築業界のIT化が遅れているのではなく、建築は歴史が深く、古くは縄文時代までさかのぼるわけで…あまりにも建築技術が高度化し、業務が細分化されているため、ITをどうやって適応すればいいのかが難しい状態になっているのかと。その部分を突破しより事業を加速させていくためには建築もITも高いレベルで実現できる技術力が必要、と考えています。

建築業界の「現場感覚」を大切にする

広報:建築業界にITを適応させることについて、具体的にどのような難しさがあるのでしょうか。

榑沼:日本は北から南まで縦に長いので季節性があり、さらにが地震が多いので諸外国と比べ家の耐震性も高いレベルで求められています。衣食住において日本が多様な文化を持ったといわれる説の1つとして季節性がありますが、住宅もそれに該当します。北海道の住宅と沖縄の住宅は全く違いますよね。

ちなみに、私の2019年の移動距離が地球4.5周でした。(!)ほぼ国内だけでその距離の移動がありましたが、今後はWeb会議で済む打合せも増え、移動距離が減るとは思いますが、ある一定の現場感覚は大切にしていかないと技術が追い付いていかなくなると考えています。

実際に現場を見ないとわからないことが多すぎる。私は建築業界でのキャリアが今年で46年目になりますが、現場に行くたびに新しい発見と勉強があります。

広報:建築業界46年目…ほぼ半世紀ですね。(榑沼さん、一体いくつなんだろう…)

榑沼:私の実家は設備工事店だったので、生まれてから建築業界キャリアスタートと考えてます。でもここで、相撲や芸人の世界のように、1日でも早く入門した方が兄弟子。なんてことを言いたい訳じゃなくて、建築業界は、経験工学な側面を多分に持っていて、経験をお持ちの諸先輩方からの教えは、大変勉強になりますよ。

私はシステムエンジニアとしてのキャリアの方が、結果的に短いですが、システム開発の方が簡単、とまでは言えないが、建築はそれぐらい難しいと思う。本当に奥が深く、面白い。

広報:建築の奥深さ、面白さをどのように社員に伝えていますか?

榑沼:最近では当社メイン拠点がある沖縄で、沖縄の住宅供給事業者とコミュニケーションを取っています。設備設計をご提案し、エプコシステムを理解していただき、住宅設備の品質を高める活動をさせていただいています。当社社員も現場入りして、現場を良く勉強させていただく機会を設けています。

現場が近くないと、なかなか社員に現場確認をさせることが出来ないので、非常に貴重な機会をいただくことができています。社員もそういった機会を生かし、建築の勉強を深めて欲しいと思いますね。結果、設計品質も上がり、建築をもっともっと面白く感じてもらえると思います。

そして、エプコシステムが住宅業界において品質をどれだけ上げているかを肌で感じて、自身がやっている仕事がどれだけ責任があり、社会貢献に役立っているか感じ、日々の業務に取り組んでもらいたいですね。

広報:なるほど。社会貢献に役立っているという実感はモチベーション維持に重要なことと思います。榑沼さんご自身のエピソード、是非お聞かせください。

榑沼:私も沖縄の家はいろいろ見ましたが、沖縄の、特に木造住宅は内地から入ってきた工法が多く、工法が沖縄の気候や風土に追いついてないように思います。柱が細かったり、雨仕舞いが悪かったり、独特の湿気対策、さらに防蟻対策等出来ていない事例が見受けられる。数年後、不具合が散見されるのでは無いかと心配なので、地元である沖縄の家の品質が良くなるよう、何かお役に立てればと考えています。

広報:住まいを支えるインフラ企業として一定の現場感覚を持ち続けないと技術がついてこないというところが建築業界にITを適応させることの難しさの1つだということがわかりました。

建築とIT、全く異なる世界を融合させる

広報:さて、建築視点からのお話を頂きましたが、IT視点から見るとどうですか?

榑沼:分かりやすいところで話すと、IT業界は日進月歩で、IT業界での「匠」が意味するものと、建築業界のそれとは、全く考え方が違います。

IT業界の「匠」は、日進月歩の勢いで変化している技術を取り込んで行く技術を持っていることかと。IT業界で言う技術は、短期間でどんどん進歩してしまう。昨日見たことが、今日正しいかどうか、ということも分からない。計算速度や通信速度が指数関数的な勢いで進歩している世界ですから。正しい方法論って、いつの断面の「正しい」なのかでしかないんです。

アルゴリズムやオブジェクト指向等、基本的な考え方はもちろん重要ですが、IT業界での「匠」は技術の進歩に追いつき追い越すスピード感を持つ技術者のイメージですね。

建築業界の「匠」は、字の通り、語るに及ばずでしょうか。建築の話しでは、現場至上主義のような話しをしましたが、ITの話としては、月に最低1冊は新しい技術書を読んで新しい技術を取り込んで行くことでしょうか。今は「本」って感じでもなく、Webでの情報収集とも言えますが。

広報:建築とIT、全く違う世界観ですね。

榑沼建築、ITとそれぞれ全く違った考え方を持つ世界を、うまく組み合わせ、建築×ITを成立させる必要があります。「建築業界が遅れている」といった表現は間違っていると思います。

H-M事業部の今後の働き方

アフターメンテナンス業務のテレワーク化に加えて施工・検査にもテレワークの要素を取り入れる

広報:建築業界の面白さ・奥深さにITをうまく融合させる必要があるとのことでしたが、H-M事業部としての今後の働き方についてどうお考えか教えてください。

榑沼:建築業界は現場での業務が多いので、テレワークを活用しにくいということもよく言われますが、設計、施工、検査、維持管理といった一連のプロセスの中でもテレワークを活用した業務のやり方を改革する余地があると思います。当社は沖縄オフィスで住宅のアフターメンテナンスのコールセンター業務を行っていますが、テレワークにシフトすることを進めています。

広報設計、施工、検査、維持管理の中でも維持管理の業務のテレワーク化ということですね。

榑沼:施工や検査についても全業務をテレワーク、とはできない業務ですがエプコが開発した「現場課長」を利活用していただき、リモートで確認できる作業と増やせば、業務効率も上がり現場作業も最小限にできる余地があると考えています。社内でもテレワーク活用は進めていきますが、エプコのサービスを利用いただいている事業者にもテレワーク的な要素を活用いただけるような動きを進めていきたいと考えています。

時間・場所の制約がなくなることを利用した、より建築的視野を持った高度な電話対応

広報:今後、コールセンター業務を含め、一層働き方を変革することになると思いますが、自社の働き方イメージについてもう少し聞かせてください。

榑沼:沖縄オフィスのコールセンター業務を担うメンバーもテレワークができるようになれば、より短いローテーションでも働けるようになり、管理側としても入電の多い時間帯のシフト調整もやりやすくなると思います。また、沖縄以外の全国からの採用が可能になるので、例えば日本の北側のお客様からの入電は北よりのメンバーで対応し、南側は同様に南よりのメンバーで対応するというシフト構成にすることで、より高度な対応ができるようにすることを考えています。

広報:時間と場所の制約がなくなったことにより、よりお客様の住環境に近いメンバーで対応できるようにするということですね。

榑沼:家は北と南で違いますからね。エプコのコールセンターは建築・住生活に特化しているコールセンターなので、建築の特性を読んだ対応ができるようになります。ただ電話受付をしているコールセンターではなく、目的は建築的視野をもった対応でよりお客様満足度の向上を図るということです。エプコがコールセンターを代行することで、住宅会社様がより顧客に寄り添う仕事に特化した業務ができるようになり、三方良しであればいいと考えています。

建築系部門とIT系部門、それぞれの専門分野の融合・進化を

広報:榑沼さんの部署はITエンジニアも多くいますが、そちらはどうですか?

榑沼:当社のエンジニアは早々にリモートワークにシフトしました。もともとリモートワーク出来る仕事ですしね。メールやプロジェクト管理ツールを使って目標・進捗管理、あとは技術習得といった働き方です。去年だって私が地球4.5周している間もあまり会ってないし、ごくたまに事務所で合うと「事務所にいたんですか!」と驚いた顔をされます。(笑)これからもそれが変わらないかなと。Zoomで顔が見られるようになっただけ良いなんじゃないかなあと。

広報:エンジニアの皆さんはほとんど仕事の仕方は変わらないのですね。今後、建築×DX(デジタルトランスフォーメーション)はどう実現していきますか?

榑沼:エプコは従前から建築系の部門とIT系の部門をもっており、それぞれが高いレベルで業務をしてきたと思います。もともと建築×DX的な要素は持っていたのですが、それぞれ進化させ融合させることが建築×DXだと思っています。私たちがやってきたことの延長戦上に答えがあると思っていますが、ITのスピードがさらに上がっていくので、建築部門もよりIT目線を持ったスピード感は持つべきと考えています。

広報:より一層お互いの高いレベルの業務を活かしていきたいですね。榑沼さん、ありがとうございました。

H-M事業部榑沼さんとの対談をお届けしました。最後はE-Saving事業部宮野さんとの対談になります。お楽しみに!!

D-TECH事業部楊さんインタビュー:

高付加価値なサービス提供と創造的な働き方を推進‐D-TECH事業部楊さんインタビュー