カテゴリー:スマートエネルギー | a route(みちすじ) - パート 8

蓄電池利用で電力需給調整を図るには。

 ONEモデル

 最近の報道によると、再生可能エネルギーによる発電設備(主にメガソーラー発電)の増加により、日中に発電量が電力消費量を上回る地域が発生することなどを理由に、発電が不安定なメガソーラーからの電力を送電網へ接続することを保留する電力会社が増えているようです。

 これには送電網への負荷低減など技術的な課題の他、一般家庭を含む需要家への再生可能エネルギー発電促進賦課金の負担問題、メガソーラー発電所の経営問題など、多くの課題を解決しなければなりません。

 本日は、一般家庭における再生可能エネルギーの利用頻度の向上というテーマでお話ししたいと思います。

 これまでの再生可能エネルギーによる発電は、メガソーラー発電にしても家庭用の太陽光発電にしても、FIT制度を利用して発電した電力を高値で売却することを主眼においてきたと思われます。これは、再生可能エネルギーによる発電量を増加させるという当初の目論見には合致しておりましたが、再生可能エネルギーを効率よく利用するという電力消費の面では対策が不足していたと考えております。

 気象条件により発電量や発電時間が不安定になる再生可能エネルギーですので、これを安定化させるには電力会社間での電力の融通や過剰な電力を吸収する揚水発電所や大型蓄電池の活用などが考えられますが、やはりそれなりの時間と資金が必要になると思います。

 一方で、一般家庭や店舗などに設置した太陽光パネルから発電した電力は、住宅や店舗で消費した残り(余剰分)を売電することの方が多いと考えます。

 太陽光発電普及拡大センター(J-PEC)の資料によりますと、平成21年1月から平成26年3月までの住宅用太陽光発電補助金申込受付件数は、新築・既存住宅の合計で約127万件になります。太陽光パネルの設置容量を4Kw/棟と仮定しますと、設置容量は5,000MWという大規模な容量になります。これに住宅で消費した電力の残り分(余剰比率)を50%と仮定し、kw当たりの年間発電量を1,000kwh/kwで計算すると、送電網に流れている余剰電力量は2,500MWで、発電能力に換算しますと100万kw規模の火力発電所2.5基分に相当いたします。

 一般家庭を中心とした低圧電力の消費量は、全電力需要の約37%を占めるというデータが資源エネルギー庁などから発表されておりますので、低圧電力の全消費量と余剰電力量を比較すると余剰電力量は少ないものの、この家庭で発電された余剰電力を送電網へ流さずに、家庭内で再利用できれば送電網への負荷軽減につながります。

 その解決方法は、家庭向けの蓄電池を設置するという極めてシンプルな対応です。家庭の太陽光パネルで発電した余剰電力を蓄電池に貯めて、太陽光パネルが発電しない深夜や朝方に蓄電池から放電して電気を使う。この方法が最も簡単で需要家にもわかりやすいと考えております。

 但し、家庭向けの蓄電池はまだ高額なため、一般家庭において太陽光パネルと蓄電池をセットにして利用する需要家が少ないのも事実であります。ここは国の政策に頼わざるおえないのですが、蓄電池の設置補助金に加えて、送電網へ売電せずに蓄電池に貯めた電気もFIT制度の対象になる政策があれば、家庭向けの蓄電池利用は加速するものと考えております。

 勿論、FIT制度を利用しますので、計量法に準拠した形で蓄電池に貯めた電気を測定する方法や、蓄電池への充電が一杯になり送電網へ流れた電気の取り扱いなど、技術面、制度面で解決しなくてはならない課題もありますが、家庭で発電した電気を家庭で消費するのが最もシンプルで、電気の利用効率面からも最適な方法と考えます。

 また、蓄電池が設置されていれば電力のピークシフトにも利用できます。気象予報により翌日の太陽光パネルからの発電量を予測し、雨天などで太陽光パネルからの発電が少ない場合、前日の深夜電力を蓄電池に充電し、日中に放電利用することで電力ピークを抑制することが可能であります。

 弊社では需要家向けの電力サービスをいち早く手掛けており、蓄電池を利用した電力サービスが、ORIX社、NEC社とEPCO(エプコ)の共同出資によるONEエネルギー株式会社であります。

 現段階では高額な蓄電池をレンタルサービスで設置しやすいようにし、HEMSアプリケーションぴぴパッ!で蓄電池をコントロールすることで電気の最適利用を図り、電気料金の節約につなげるサービスを展開しております。太陽光パネルが設置されている家庭には、これまで記載してきた電力の自給自足も可能であります。

 やはり一般家庭では、技術的に高度なことや費用が高額になる電力サービスは普及しずらいと考えますので、生活に密着したシンプルな電力サービスを提供するように心がけております。

 これからも様々な形で住宅・家庭分野の強みを活かした弊社ならではの電力サービスを提供して参りますので、引き続き、ご支援のほど、よろしくお願いいたします。

  

 

 

 

 

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電力バスケット方式による電力需給調整で、日本初となる特許を取得

 電力バスケットCEOブログ

 今回は、日本で初めて特許を取得した電力バスケット方式による電力需給調整システムについてお話しさせていただきます。このシステムは、電力小売り自由化後に、電力供給に限りがある地域新電力やメガソーラー発電所からの電力を主電源とし、一般家庭に電力を供給する新電力が活用することで需給バランスの安定などに効果を発揮すると考えております。

 この電力バスケット方式による電力需給調整システムは、再生可能エネルギーを利用した発電(メガソーラー発電所など)に限定することなく、電力会社の発電所から供給される電力網にも利用可能ですが、メガソーラー発電所などは気象条件や季節により発電量や発電時間が異なるため、発電と電力消費の調整をより的確に行う必要があり、メガソーラーなどの再生可能エネルギーを利用した電力供給に効果が高いと考えております。

 電力小売り自由化後は、再生可能エネルギーによるクリーンな電力を利用したいという家庭も多く見込めることから、電力小売りに新規参入する事業者や自治体の中には、メガソーラー、水力、風力、バイオマスなど域内の再生可能エネルギーを利用する地域新電力で事業化を検討する動きも出始めております。

 一方で、メガソーラーなどの再生可能エネルギーによる発電は、発電量や電力供給時間に制約があるため、再生可能エネルギーからの電力を主に供給する新電力は、一般電気事業者(一般電力会社という)から電力を常時バックアップしてもらい、夜間などの電力も部分的に供給してもらう必要があります。

 当然ながらメガソーラーなど再生可能エネルギーで発電した電力を全て消費してもらう方が、一般電力会社へ支払う常時バックアップ料金なども低減できるので、新電力も利益が最大化でき好ましいのですが、それには需要家(家庭など)の電力消費量と消費時間を、メガソーラーなどの発電量と発電時間に合わせ調整する必要があります。

 この発電と消費の電力需給調整を、電力バスケット方式という新たなシステムを用いて広域で継続的に行うことにより、新電力と需要家の双方にメリットを出すことが可能と考えております。

 これまでの電力需給調整は、一時的な需要削減や需要シフトによる電力供給の代替えとしての取り組みが多く、一般家庭を対象に広域で年間を通じて継続的に電力需給調整を行うことで、需給バランスの最適化を図り、電力供給側のコスト削減による需要家への料金還元まで落とし込む仕組みが確立された状態ではありませんでした。

 この度、日本で初めて特許を取得しました電力バスケット方式による電力需給調整のシステムは、正に一般家庭を対象にした広域で継続的な電力需給調整方法であり、需要家を電力消費パターンごとに分類しグループ化いたします。そして電力消費の相関性が異なるグループを1つのバスケットに加え、バスケット単位で電力需給調整を図る方法を取っております。

 特に再生可能エネルギーを主電源とした電力小売りでは、発電側の制約により電力供給量と供給時間が限られているため、電力需給バランスを最適に保つ必要があります。そこで、相関性の異なる需要家グループをバスケットに加え、各々のバスケットを管理(需要家の数や需要家の電力消費パターン)することで電力消費の波を安定化させ、更に需要家に対して各種インセンティブで電力消費の削減や電力消費時間をシフトしてもらうことで需給バランスの最適化を図る仕組みです。

 この取り組みは大規模HEMS情報基盤整備事業の中で、福岡県みやま市の需要家2,000世帯を対象に実証を行い、当社と東京大学との、電力の低圧需要家で構成されるエリア内の電力需要予測技術に関する産学共同研究で学術的にも立証していくことにしており、その成果を基に多くの新電力、既存電力会社の方々に利用してもらえるようシステムや仕組みを整えていく所存です。

 電力小売り自由化では、これまでにはない新たな発想でシステムや仕組み、サービスを創り上げ、新市場を創造することで日本経済の活性化につなげる必要があると考えます。当社では多くの企業、自治体と連携して電力小売りの新市場創りを先導してまいりますので、これからもご支援のほど、よろしくお願いいたします。

 

 

 

 

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エプコと日本IBM社との協業合意について

 IBM社プレスリリース資料

 この度、当社と日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM社)が、エネルギー・マネジメントなどの分野で協業することで合意いたしましたので、その合意内容についてお話しさせていただきます。

 当社と日本IBM社は、エネルギー分野でシステムやサービスを提供していることから、両社が保有する得意分野でのシステムやノウハウを連携させることで、両社の強みを相互に補完し、電力小売り分野でのエネルギー・サービスを迅速に展開できるものと考えております。

 具体的には、当社のアプリケーションサービス(ぴぴパッ!)の提供や、電力小売りに係わる業務支援サービスと、日本IBM社が提供するサービス・デリバリー・プラットフォーム(以下、SDP)を連携していく予定です。

 電力小売りの自由化を見据え、今後、電力小売り市場へ新たに参入する企業や自治体が増加するものと思われます。その新規参入する企業や自治体が、スピーディーに電力小売り事業を開始できるよう、日本IBM社の電力情報基盤と当社の業務支援サービスをパッケージで提供していく計画です。

 また、両社は、需要家(家庭など)向けにHEMSデータを利活用したアプリケーションサービス(ぴぴパッ!による節電アドバイスや見守りサービスなど)を提供し、個別の需要家とOne to One のコミュニケーションを確立していく計画です。これによりサービスに対する需要家の反応を直に確認することができるため、需要家が求めるエネルギー・サービスの提供や、電力のビックデータを活用した様々なエネルギー・サービスの開発が可能になると考えております。

 大規模展開で個別の需要家とコミュニケーションを図るには、日本IBM社のCampaign機能を活用する他、当社のぴぴパッ!の機能拡張においては、日本IBM社の次世代クラウド・プラットフォームであるIBM Bluemix のAPIを活用し、公開していく予定です。

 当社は住宅関連事業会社向けに、個別住宅ごとの設備設計やコールセンターなどの業務支援や顧客管理のサービスを提供しております。また、需要家(家庭向け)には、特許を取得したHEMSアプリケーション(ぴぴパッ!)で、ECHONET Lite に対応した機器を自動制御することで節電を行うサービスや、快適な暮らしをサポートするWEBサービスを提供しております。

 今後、両社の協業を進化させ、電力小売り事業へ参入する多くの企業や自治体向けに、電力小売りシステムやバックオフィス業務をパッケージにしたユーティリティーサービスを提供し、より広範に事業展開を図っていく所存です。

 

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