蓄電池利用で電力需給調整を図るには。

 ONEモデル

 最近の報道によると、再生可能エネルギーによる発電設備(主にメガソーラー発電)の増加により、日中に発電量が電力消費量を上回る地域が発生することなどを理由に、発電が不安定なメガソーラーからの電力を送電網へ接続することを保留する電力会社が増えているようです。

 これには送電網への負荷低減など技術的な課題の他、一般家庭を含む需要家への再生可能エネルギー発電促進賦課金の負担問題、メガソーラー発電所の経営問題など、多くの課題を解決しなければなりません。

 本日は、一般家庭における再生可能エネルギーの利用頻度の向上というテーマでお話ししたいと思います。

 これまでの再生可能エネルギーによる発電は、メガソーラー発電にしても家庭用の太陽光発電にしても、FIT制度を利用して発電した電力を高値で売却することを主眼においてきたと思われます。これは、再生可能エネルギーによる発電量を増加させるという当初の目論見には合致しておりましたが、再生可能エネルギーを効率よく利用するという電力消費の面では対策が不足していたと考えております。

 気象条件により発電量や発電時間が不安定になる再生可能エネルギーですので、これを安定化させるには電力会社間での電力の融通や過剰な電力を吸収する揚水発電所や大型蓄電池の活用などが考えられますが、やはりそれなりの時間と資金が必要になると思います。

 一方で、一般家庭や店舗などに設置した太陽光パネルから発電した電力は、住宅や店舗で消費した残り(余剰分)を売電することの方が多いと考えます。

 太陽光発電普及拡大センター(J-PEC)の資料によりますと、平成21年1月から平成26年3月までの住宅用太陽光発電補助金申込受付件数は、新築・既存住宅の合計で約127万件になります。太陽光パネルの設置容量を4Kw/棟と仮定しますと、設置容量は5,000MWという大規模な容量になります。これに住宅で消費した電力の残り分(余剰比率)を50%と仮定し、kw当たりの年間発電量を1,000kwh/kwで計算すると、送電網に流れている余剰電力量は2,500MWで、発電能力に換算しますと100万kw規模の火力発電所2.5基分に相当いたします。

 一般家庭を中心とした低圧電力の消費量は、全電力需要の約37%を占めるというデータが資源エネルギー庁などから発表されておりますので、低圧電力の全消費量と余剰電力量を比較すると余剰電力量は少ないものの、この家庭で発電された余剰電力を送電網へ流さずに、家庭内で再利用できれば送電網への負荷軽減につながります。

 その解決方法は、家庭向けの蓄電池を設置するという極めてシンプルな対応です。家庭の太陽光パネルで発電した余剰電力を蓄電池に貯めて、太陽光パネルが発電しない深夜や朝方に蓄電池から放電して電気を使う。この方法が最も簡単で需要家にもわかりやすいと考えております。

 但し、家庭向けの蓄電池はまだ高額なため、一般家庭において太陽光パネルと蓄電池をセットにして利用する需要家が少ないのも事実であります。ここは国の政策に頼わざるおえないのですが、蓄電池の設置補助金に加えて、送電網へ売電せずに蓄電池に貯めた電気もFIT制度の対象になる政策があれば、家庭向けの蓄電池利用は加速するものと考えております。

 勿論、FIT制度を利用しますので、計量法に準拠した形で蓄電池に貯めた電気を測定する方法や、蓄電池への充電が一杯になり送電網へ流れた電気の取り扱いなど、技術面、制度面で解決しなくてはならない課題もありますが、家庭で発電した電気を家庭で消費するのが最もシンプルで、電気の利用効率面からも最適な方法と考えます。

 また、蓄電池が設置されていれば電力のピークシフトにも利用できます。気象予報により翌日の太陽光パネルからの発電量を予測し、雨天などで太陽光パネルからの発電が少ない場合、前日の深夜電力を蓄電池に充電し、日中に放電利用することで電力ピークを抑制することが可能であります。

 弊社では需要家向けの電力サービスをいち早く手掛けており、蓄電池を利用した電力サービスが、ORIX社、NEC社とEPCO(エプコ)の共同出資によるONEエネルギー株式会社であります。

 現段階では高額な蓄電池をレンタルサービスで設置しやすいようにし、HEMSアプリケーションぴぴパッ!で蓄電池をコントロールすることで電気の最適利用を図り、電気料金の節約につなげるサービスを展開しております。太陽光パネルが設置されている家庭には、これまで記載してきた電力の自給自足も可能であります。

 やはり一般家庭では、技術的に高度なことや費用が高額になる電力サービスは普及しずらいと考えますので、生活に密着したシンプルな電力サービスを提供するように心がけております。

 これからも様々な形で住宅・家庭分野の強みを活かした弊社ならではの電力サービスを提供して参りますので、引き続き、ご支援のほど、よろしくお願いいたします。

  

 

 

 

 

カテゴリー:スマートエネルギー